さ行
債権・債務
「債権」とは、ある人が相手方に金銭や物などを請求し、これを実行させることを内容とする権利です。
一方の「債務」とは、相手方に金銭や物などの給付を義務付けられていることです。
債務不履行
債務者が、その責めに帰すべき事由(故意、過失)によって、債務の本旨に従った履行をしないことを「債務不履行」といいます。債務不履行には、履行期に遅れた「履行遅滞」、履行することができなくなった「履行不能」、履行はしたが十分でなかった「不完全履行」の3つがあります。履行遅滞と不完全履行で、まだ履行の余地のある場合には、裁判や執行によって債務自体の履行の強制もできますが、 債権者はこれとともに損害賠償の請求ができます。
また、履行不能または不完全履行で、履行の余地がない場合においても、これに代わる損害賠償の請求ができます。
残債
残存債務のことで、住宅ローンなどで、ある時点での未払いの借入金残高を「残債」といいます。
確定申告で住宅ローン控除を受ける際、買い換えなど転売する際、住宅ローンの借り換え時などに算定します。取り扱い金融機関からの残高通知書・残高証明書等によって正確な数字が把握できます。
市街化区域
無秩序な開発を防ぎ、計画的な市街化を図るために定められた都市計画区域の区分の一つで、既に市街地を形成している区域と、10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を「市街化区域」といいます。
市街化区域では、用途地域が定められ、道路・公園・下水道などのインフラを重点的に整備するとともに、きめ細かい建築規制が実施されています。
市街化調整区域
無秩序な開発を防ぎ、計画的な市街化を図るために定められた都市計画区域の区分の一つで、当面の間は市街化を抑制すべき区域を「市街化調整区域」といいます。市街化調整区域は、多くの場合、農地が広がり建築物の密度が低い地域に指定され、原則として住宅等の建設が禁止されています。
シックハウス症候群
新築の建物において、主に建材や家具に使われているホルムアルデヒドなどの化学物質が原因で、目、鼻、喉の痛み、頭痛、吐き気、めまい、喘息、皮膚炎などの症状が起きる現象またはその病状のことを「シックハウス症候群」といいます。建物の気密化や換気不足なども原因として考えられています。最近の新築住宅では「ノンホルムアルデヒド」や「低ホルムアルデヒド」といった化学物質が出ない、または少ない建材が採用されています。
私道負担
不動産取引において、売買等の対象となる土地の一部に私道の敷地が含まれている場合に、この私道敷地部分を「私道負担」といいます。 この私道には建築基準法上の道路となる私道以外にも、通行地役権の目的となっているようなものも含みます。 また、私道について所有権や共有持分を持たずに、利用するための負担金を支払うことになっている場合や将来生じることになっている私道負担も私道に関する負担に含まれます。  宅建業法で規定する「重要事項の説明」では、宅建業者に対して、取引の際にはあらかじめ「私道に関する負担に関する事項」 を説明することが義務付けられています。 私道負担のあることを知らずに不動産取引をした購入者に対して、損害を与えないよう、あらかじめ私道の負担の内容を説明する義務を課したものです。
借地権
建物の所有を目的として地主から土地を借りて使用する権利を「借地権」といいます。 借地権の契約期間は最低30年以上で、借地人が更新を求めた場合には同一の条件で契約を更新しなければならず、更新後の契約期間は1度目が20年以上、2度目の更新以降は10年以上とされます。
また、地主が契約更新を拒絶できるのは正当事由がある場合のみとなります。 借地権には、地上権と土地賃借権の2種類があり、定期借地権と区別するために普通借地権ということもあります。 借地権は、ひとつの財産権としての評価を受け、借地契約にあたっては、その割合の権利金が授受されることがあります。
遮音等級
遮音性能を基準に照らし合わせ、等級に表したものを「遮音等級」といいます。
例えば、床の遮音等級は、記号「L」で表示されます。
マンションの場合、「L45」〜「L50」程度が一般的な等級で、この数が小さいほど遮音性能に優れています。遮音性能は、床のスラブ厚や工法、床の仕上げ材料により決定されます。
重要事項説明
取引物件の契約を締結する前に、宅地建物取引業者が宅地建物取引主任者を用いて買主または借主に、取引物件の重要な事柄を説明することを「重要事項説明」といいます。 買主または借主は、取引物件についての十分な知識をもっていないことがほとんどで、それを知らないまま契約をしてしまうと思わぬ損害を受けてしまうことがあります。 そこで宅建業法では、不動産に関する知識が十分ある取引主任者が、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に、重要事項の説明を義務付けています。 この重要事項説明は、取引主任者が記名押印した「重要事項説明書」という書面を相手に交付する義務があり、取引主任者は説明の際に、相手方に宅地建物取引主任者証を提示しなければなりません。
守秘義務
宅建業者およびその使用人、その他の従業者は、正当な理由がなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。これを「守秘義務」といいます。 宅地建物取引業を営まなくなった後、またはその使用人等でなくなった後、でも同様とされています。
宅建業者等は、宅地または建物といった依頼者の重要な財産について、相談を受けたり取引に関与したりして他人の秘密を知る機会が多いので、業務上知り得た他人の秘密を守ることを特に強く義務付けられています。
筋かい
地震や強風などによる軸組の変形を防ぐために対角線方向に入れる補強材を「筋かい」といいます。
筋かいは、釣り合いをよく配置し、ねじれを生じないようにして、建物全体を強固にするために必ず入れます。
セットバック
不動産業界では、建築基準法上、斜線制限等により建物の上部を下部よりも後退させること、また、2項道路に接している敷地で道路の境界線を後退させることの2つを「セットバック」といいます。 セットバックとは、英語で「後退」を意味します。
なお、2項道路(幅員が4mに満たない道路)に面している場合には、少なくとも道路中心線から2mはセットバックしないといけません。
専任媒介契約
宅地建物取引を行う際に、宅建業者が依頼者と結ぶ媒介契約のひとつです。
依頼者は複数の業者に物件の仲介を頼むことができないというのが特徴です。
依頼者は複数の業者に依頼できないという拘束を受けるため、宅建業法により以下のような特別な規制が設けられています。契約有効期間は3ヶ月です。業者は依頼者に対して2週間に1回以上、業務処理状況を報告する義務があります。
契約締結日から7日以内に、業者は国土交通大臣指定の流通機構に物件情報を登録する義務があります。
相続税
相続や遺贈(遺言によって財産を贈与すること)で取得した財産にかかる税金を「相続税」といいます。
但し、正味の遺産額が基礎控除額(5,000万円+法定相続人の数×1,000万円)を超えたものが課税の対象となります。
税率は、10%から70%の超過累進税率が適用されます。原則金銭による納付ですが、税務署が認めれば、物納や年賦延納も可能です。
贈与税
他人から財産の贈与(死因贈与は除く)を受けた場合、その受けた人物に課税される国税を「贈与税」といいます。個人から個人への贈与があった際に課せられ、個人が法人から受けた場合は、所得税となります。
た行
宅地建物取引主任者
宅地建物取引主任者資格試験に合格し、試験を実施した都道府県知事に登録手続きを行い、かつ宅地建物取引主任者証の交付を受けた者を「宅地建物取引主任者」といいます。
宅地建物取引主任者の主な業務には、重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、そして契約書への記名押印の3つがあります。また、宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5人に対して1人以上の割合で、専任の宅地建物取引主任者を置くことが義務付けられています。
建売住宅
土地と建物をセットで販売する新築分譲住宅を「建売住宅」といいます。
建売住宅には、業者の企画(規格)で建物を建ててから販売する完成売りと、更地の状態または基礎部分だけが完成している状態で契約締結後に建築開始する青田売りの大きく分けて2つがあります。
団体信用生命保険
「団体信用生命保険」とは、住宅ローンの借主が、債務を弁済する前に死亡または高度障害を負った際、生命保険会社が残債務を弁済してくれるという制度です。この団体信用生命保険に加入すれば、万一の際にも残された家族に債務が残らないため、住宅金融公庫融資などの公的融資では任意加入となっていますが、9割を超える加入率です。
築年数
建築経過年数の略称を「築年数」といいます。通常、建物登記簿謄本の表題部に記された「登記原因及びその日付」を根拠にします。中古物件などの場合は表示規約により、表示が義務付けられています。これは物件価格などに大きく影響を及ぼすためです。
地上権
他人の土地において、工作物等を所有する目的で、その土地を使用する権利を「地上権」といいます。
地上権は、土地所有者の承諾がなくても譲渡・転貸が自由であること、土地所有者に登記義務があることなどから、同じ借地権のひとつである土地賃借権と比較して、借地人の権利が強くより所有権に近いといえます。
また、地上権は、地下鉄や高架線等の設置のため、地下または空間にも設定することができます。
地積
土地の戸籍のことを「地籍」といいます。不動産登記法により、一筆ごとに所在、地番、地目、地積および所有者が記録されます。現在登記所(法務局)に備えられている簿冊や地図は、明治初年の地租改正の検地結果を基礎としているため、不正確な部分も多く、現在でも、地籍調査および改訂作業がすすめられています。
地番
登記上、定められた個々の土地に付される番号を「地番」といいます。地番地域ごとに起番されます。
地番はあくまで土地登記に関するものであり、郵便物を出す際などに利用する住居表示とは異なります。
地目
登記簿に記載されている土地の用途・種類のことを「地目」といいます。地目は、現況と利用状況によって定められることになっていますが、登記簿上の地目と実際の土地の利用状況が一致していない場合もあります。また、地目は、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地の21種類に区分されています。 不動産取引にあたっては、田・畑など地目により権利の移転等が制限される場合があります。
仲介手数料
宅建業法でいう媒介報酬の一般的な呼び方です。媒介(仲介)を依頼され、契約を成立させた際に受け取る報酬のことです。
つなぎ融資
公庫融資などの公的融資を利用して不動産を購入しようとする者が、貸付承認後、融資が実行されるまでの期間、民間金融機関から一時的に受ける融資を「つなぎ融資」といいます。公庫融資は所有権移転後でなければ実行されず、一方、移転登記は決済時に行うことが通常であるため、民間金融機関では公庫融資を担保として短期の融資を行っています。
登記済証
不動産の売買の際、登記が済んだことを証明する書面を「権利証」といいます。「登記済証」が正式な呼び名です。
提出された売買契約書と登記申請書に不備がなければ、登記所で「登記済」の印が押されて交付となります。
買主が新たに第三者にこの不動産を売却する時は、この権利証「登記済証」が必要となります。
登録免許税
「登録免許税」は、不動産、船舶、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、指定および技能証明について課税される国税です。納税義務者は、登記や登録等を受ける者です。不動産の取引においては、新築住宅を購入する際の所有権保存登記、中古住宅を購入する際の所有権移転登記、住宅ローンを借りる際の抵当権設定登記などがあります。登録免許税の税率は、登記の目的によって異なります。
都市計画税
「都市計画税」は、毎年1月1日現在、固定資産課税台帳に記載された土地および建物の所有者に対して課税される地方税です。この都市計画税は、市町村の下水道事業や街路事業などの都市計画の経費にあてることを目的として課税される税金です。都市計画税の税額は、固定資産の価格に、税の軽減措置を講じた後、市町村の定める0.3%を超えない範囲の税率を乗じて算定します。住宅用地に関しては、200・以下の部分は税額が1/3に、200・を超える部分は2/3に軽減されます。
徒歩所要時間の表示
「徒歩所要時間の表示」とは、宅地や建物を分譲する際に不動産広告などに表示される当該物件から交通機関や教育機関までの所要時間の表示のことです。この徒歩所要時間の算出にあたっては、不動産の表示に関する公正競争規約により定められており、「80m=1分」として算出し、1分未満については1分に切り上げることとしています。なお、この所要時間には、信号待ち時間など固有の要素は含まれません。
取引態様の明示
「取引態様の明示」とは、宅建業者が宅地建物の取引に関する広告を行ったり、注文を受けたりする際に、取引態様の別を明示しなければならないという宅建業法の規定です。取引態様には、売主、貸主、代理、媒介があり、宅建業者はどれに該当するか取引態様を明らかにする必要があります。