かかる税金・諸費用の基礎知識
 契約から住宅ローンの借り入れ、登記などをへて入居まで、家を買う時にはいくつかの手続きが必要となり、そのたびに税金や手数料などの諸費用がかかります。住宅代金のほかに必要なお金についても前もって確認しましょう
*下記のローン金利、各種税金等はすべて平成17年7月1日における概算です。
  金融機関、税務署等に最新の情報をご確認くださいますようお願いいたします。
 必ずかかる税金・諸費用を確認しよう
 住宅を購入するときには、購入代金以外に各種税金や諸費用を支払わなければなりません。税金・諸費用は住宅ローンでは借りられないので、自己資金で用意する必要があります。金額は通常、新築住宅の場合で住宅価格の3%〜6%、中古住宅の場合で6%〜10%程度といわれていますが、実際の金額はケースバイケースです。契約してから入居後までのどの段階で、どんな税金・諸費用がかかるのかを前もって把握しておきましょう。
 諸費用を計算しよう
 融資手数料・事務手数料
 ローンを借りるとき、手数料を借入先に払います。借入額ではなく、借入先ごとにかかります。証券化ローン(フラット35)の場合、提携先の金融機関によって異なります。
融資を受けるためには、手数料もかかります。融資手数料(事務手数料)は金融機関ごとに決められています。公庫融資は新築住宅の場合が4万8、510円(税込)、中古住宅とリフォームの場合が3万6,380円(税込)です。 銀行など民間ローンの場合は金融機関によって異なります。都市銀行では保証会社への事務手数料という形で支払うケースが多く、1件当たり3万円程度が目安ですが、住宅ローン専門会社では20万円前後かかる場合もあります。
 保証保険料(ローンの保証料)
 ローンの返済が滞ったときに備えて、住宅ローンを借りるときには保証保険料(ローン保証料)を支払うのが一般的です。返済が滞って保証会社が肩代わりした後も、証券化ローン(フラット35)は保証料不要です。
(財)公庫住宅融資保証協会への保証料として借入時に一括払いします。保証料は基本融資額と特別加算額、返済(保証)期間、返済方法に応じて決まります。 都市銀行では融資額と返済期間に応じて決まっていますが、金融機関によっては不要なケースもあります。
 団体信用生命保険料
 ローンを借りた人が死亡したり寝たきりになって返済不能に陥った場合に、残された家族に借金が残らないようにするために団体信用生命保険に加入します。保険料は金利に換算すると年0.3%前後。公庫では毎年まとめて保険料を支払いますが、都市銀行や信託銀行では金利に保険料が含まれます。このほか民間では、金利に上乗せして毎月支払うケースもみられます。
公庫や証券化ローンの場合は強制ではありませんが、殆どの人が加入しています。特約料は年払いで、返済期間と借入額で決まります。夫婦で加入する場合の特約料は概ね1.55倍です。 都市銀行などの民間ローンでは、加入が融資条件となっていて保険料が金利に含まれるケースが多いので、その場合は別途支払う必要はありません。
 火災保険料・地震保険料
 
住宅ローンを借りるときには火災保険への加入が義務付けられます。公庫の特約火災保険は一般の火災保険料に比べて保険料が50%程度安い点がメリット(証券化ローンでは利用できません。)これに加入すれば他のローンを借りるときに火災保険に加入する必要はありません。また、特約地震保険も特に希望がない限り特約火災保険とあわせての契約になります。
 司法書士報酬・土地家屋調査士報酬
 建物や土地の所有権や抵当権を登記する際に、手続きを代行する報酬を支払います。金額は登記の種類や住宅価格などによって異なり、8万円〜20万円程度が一般的です。
 仲介手数料
 中古住宅や新築一戸建てなどを仲介会社を通して購入する場合は、仲介会社に対して仲介手数料を支払います。手数料の上限は[住宅価格(税抜き)×3.15%+6万3,000円](住宅価格が400万円を超える場合)と決められています。
 納める税金の額
 印紙税(国税)
 売買契約書、金銭消費賃貸契約(「ローン契約」の事)書の作成の時に必要。契約書の記載金額に応じた印紙を貼付して納税
 登録免許税(国税)
 所有権や抵当権を登記する際にかかる税金。所有権の登記は土地・建物ごとに分かれ、建物分と抵当権は軽減措置もある。
 不動産取得税(地方税)
 新しく不動産を取得した時にかかる税金。土地・建物の購入、建築、増改築、贈与などでもらった場合などが課税の対象になる。所轄の役所から納付書が送られてくる。
 固定資産税・都市計画税(地方税)
 毎年1月1日現在で、各市町村の固定資産課税台帳に記されている土地や建物にかかる税金。所有者として登録されている人が払う。都市計画税は都市計画法で定めれれた市街化区域内が対象。
 条件で額が変わる費用もある
 修繕積立基金(マンション)
 新築マンションを買う時には、修繕積立基金として30万円前後を支払うのが一般的です。入居後に毎月支払う修繕積立金の基金として、建物の共用部分の修繕費用をまかないます。
 水道負担金(一戸建て)
 まとまった区画を新たに宅地として開発したケースなどでは、水道施設を敷設するための水道負担金(「水道加入金」などと呼ぶことも)を自治体に支払います。金額は30万円前後が目安です。
 検査(評価・保証料など
 新築住宅では性能表示制度を利用して建物評価を受けたり、保証会社や保証期間の10年保証を付けるケースも増えてきました。売り主の不動産会社が負担している場合もありますが、評価料は一戸建てが14万円〜15万円程度、マンションが5万円〜10万円前後。10年保証の保証料は5万円〜10万円程度(一戸建ての場合)が一般的です。
 一方、中古住宅も建物を検査して5年保証を付けるサービスが登場しています。費用は検査と保証の合計で7万円〜14万円程度です。
 つなぎ融資
 公庫を利用する場合はつなぎ融資という費用がかかることもあります。公庫は入居後に登記をしてからでないと融資が実行されないので、残金決済・引き渡しから融資実行までの間のつなぎ資金を銀行から借りるのです。つなぎ融資を利用すると、利息分を費用として支払うことになります。金額は借入額と金利、借入期間によって変わりますが、数万円から10万円前後というケースが多いようです。
 地盤調査費・古家解体費など(一戸建て)
 土地を買って家を建てる場合は、地盤調査費として10万円〜20万円程度が必要です。 また、古い家が残っている場合は、解体費として数百万円かかる場合も。建物価格の10%程度の設計料などがかかるケースもあります。
 引越し代金
 新居に入居する際には、引越し作業を専門会社に依頼するのが一般的でしょう。費用はケースバイケースですが、10万円前後というのが平均的。サービス内容や距離によっては30万円前後かかる場合もあるようです。
 家具・照明代など
 家具や照明、カーテンなどはどの程度新調するかによって費用が大きく変わります。
 公庫の調査では、最低限必要なカーテンと照明だけで20万円〜30万円前後。家具やエアコンなども買い揃えると140万円前後が平均額です。
 契約時のお金に関する注意点
 契約書のローン特約条項
 住宅ローンの正式な審査は売買契約の後で行なわれるので、契約後に金融機関から融資を断られ、資金繰りのメドが立たなくなってしまうこともあります。そんな時、契約書にローン特約の条項を盛り込んでおけば、契約を白紙に戻して支払った手付金などを返してもらうことができるのです。 ただし、金融機関名や借入額、金利などが明記されていることを確認しないと、金利の高いローンを借りざるを得ないこともあるので注意してください。
 申込金・手付金
 購入の意思表示のため申込金(申込証拠金ともいう)を10万円程度支払うケースが一般的です。さらに売買契約を結ぶ時には、手付金として住宅価格の1割程度を支払います。売主が不動産会社の場合、手付金は価格の20%以内と決められているほか、価格の10%(未完成の場合は5%)または1,000万円を超える場合は保全のため保証会社の保証が付きます。申込金・手付金とも最終的に購入代金の一部に充てられます。
 契約解除と違約金
 売買契約後にキャンセルする場合は、相手方(売り主)が契約の履行に着手する前であれば手付金を放棄することで契約解除ができますが、着手後の場合は違約金や損害賠償を求められることもあるので注意が必要です。 ただし、「履行に着手」というのがいつの時点か曖昧な部分があるので、契約時の期限を明示しているケースもあります。なお、売主の都合でり履行着手前に解約する場合は、手付金の2倍の額を買主に支払います。